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皮膚病(皮膚症)

皮膚糸状菌症(リングワーム)

<症状と原因>
犬小胞子菌などのカビが毛や爪、皮膚に感染したもの。 かさかさしたフケが出たり、円く毛が抜けたり、 膿疱や水疱が広がるなどの症状が出ます。 人(特に10歳以下の子供)に感染することもある。

<治療の方法>
抗真菌剤の内服と外用を行います。可能であれば、 病変部の毛を刈って、抗真菌作用のあるシャンプーで洗います。

また、再発予防のために、周囲の環境の掃除、消毒を行うのが理想的です。 また、人畜共通感染症のため、飼い主にうつる場合もあるので注意が必要です。

食物アレルギー

<症状と原因>
犬の食物アレルギーを引き起こす食物には、ドッグフードの主な原料として 使われるものが多い。大抵の場合、1、2種類の食物に対して アレルギー反応を起こすことが多く、それらの食物に含まれる タンパク質や炭水化物が、原因といわれている。ドッグフードの 値段の高い安いにかかわらず、同じ材料が使われていれば、 アレルギーは出る可能性がある。

ある食物がアレルゲンになりやすいかどうかは、 その食物に含まれるタンパク質・糖タンパク質などの構造や分子の 大きさに関係があるということも研究などで報告されている。 免疫グロブリン(抗体)の中には、消化器官の粘膜に多く存在するものが あってその働きが弱まると、消化管の透過性が高くなり、 栄養成分が大きな分子のまま、吸収されてしまう。

そうなると、体の免疫系にとっては、異種の物質として認識される 傾向が高くなって、アレルギー反応が出やすくなるともいわれる。 犬の食物アレルギーの原因となる主なものには次のような 食物が挙げられます。

●卵・魚・肉類: 牛肉、鶏肉、豚肉、魚、卵
●穀類: 大豆、小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、トウモロコシ
●その他: 乳製品

また、症状がアレルギーと似たもので食物不耐性がある。 アレルギーとの大きな違いは、アレルギーよりも急性であることが多く、 体の免疫系の過剰な反応ではない。 例えば、ドッグフードを変えた途端に、体調がおかしくなった場合は、 原因が食物アレルギーである可能性は低いと考えられている。 食物不耐性で代表的なものは、ラクトース不耐性がある。

これは、犬の多くが牛乳などに含まれているラクトース(乳糖)を 分解する酵素であるラクターゼを十分に持っていないので、 嘔吐や下痢などを起こすもの。 個体差もあるので、犬の中には、牛乳を飲んでも全然平気な場合もある。

食物アレルギーの治療法はまず、アレルゲンが何であるかを見つけることから始まる。 食品添加物もアレルゲンであるという意見もあるが、これについては 賛否両論ある。仮に添加物がアレルゲンであったとしても、 そのケースは稀だといわれる。


<治療の方法>
食物が原因となっている場合は、アレルギー用の処方食を与えます。 ホコリやダニが原因である場合は、 生活している場所を頻繁に掃除するようにします。

また、かゆみを抑え、なめたり引っかいたりすることによって、 皮膚傷害が蔓延することを防ぐために、 抗ヒスタミン鋼とコルチコステロイド剤がよく使われます。

頻繁にシャンプーすることで、痴皮や角化層と同時に 皮膚表面のアレルゲンを取り除くようにします。

ニキビダニ症(毛包虫症,デモデックス症)

<症状と原因>
ニキビダニの寄生によって起こる。 通常、ニキビダニは犬の毛包内(毛穴)に常在していますが、 このダニが異常繁殖して毛包虫症を発症する。発症すると、 局部的、あるいは全身の脱毛や、皮膚が厚ぼったくなって 黒ずむなどの症状が見られるが、かゆみはあまり伴わない。

ばい菌による二次感染が起こるとニキビ状のできものができ、 患部がジクジクするようになる。 治療には、駆虫用の薬剤を患部に塗布する方法や薬浴、 抗生物質の投与などが行われるが、完治までには長時間かかる。

毛包虫の感染経路は、まだわかっていない面が多く、 多頭飼育の場合でも、かかる犬とかからない犬がいる (統計的にはテリア犬種や短毛犬種に発症が多い)。

<治療の方法>
治療は脱毛の根本原因となるニキビダニを排除あるいは増殖を 抑えることにあります。毛刈りと殺ダニ剤の薬浴で治療をおこない、 脂漏症や膿皮症があれば同時に治療する。

また、成犬や老犬の場合、基礎にある疾患を発見し治療することが重要です。 また、細菌の二次感染を抑えるため、抗生物質を投与することもあります。

天疱瘡(てんぽうそう)

<症状と原因>
もともと人の皮膚病として古くから知られていたが、 1975年に犬でも同様の疾患が確認された。 現在のところ落葉性、紅斑性、尋常性、増殖性の4つの変種に分類される。 一般に口や鼻の周囲、肛門や生殖器の周囲、 腋や大腿の内側などの皮膚と粘膜の境界部位などが好発部位。

症状は、まず口腔内にはじまることが9割で、その後上記のような 場所に大型の水疱が形成され、破裂後、びらんや潰瘍をおこす。 細菌の二次感染も懸念。尋常性天疱瘡は、致死的で大変危険な病気。

<治療の方法>
治療法としては、抗生物質療法で細菌感染の治療を行います。 また、ステロイド、免疫抑制剤による治療を長期間行います。 犬ではこの他、全身性エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、 類天疱瘡などの自己免疫疾患がまれにみられますが、 治療はほとんど同じと考えられております。

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