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腫瘍性・ガン(癌)

皮内角化上皮腫

<症状と原因>
良性の表皮由来腫瘍で,若い雄犬に多いです。 通常は単発性ですが,ノルウェージャンエルクハウンドでは 多発することがあります。0.5-4cmの直径の隆起した結節状の病変で皮膚表面には穴があいてしまいます。

<治療の方法>
他の腫瘍同様、外科的手術によって患部を 除去すれば治癒します。

血管外膜細胞腫

<症状と原因>
米国の調査(1966~70)では、脂肪腫に次いで多くみられ、腫瘍性病変の約10%を占めています。「血管周皮腫」、「血管周囲細胞腫」とも呼ばれます。毛細血管や小静脈の外側を螺旋状に取り巻く血管周囲細胞から発生すると考えられてます。

<治療の方法>
一般的には手術により切除しますが、取り残しが多く再発するとさらに悪性化する場合が多く、部分的に生検して病理診断を行い治療法を決定しますが、広範な切除または断脚が必要であると考えられます。 また、外科的切除のほかに、補助的な療法として放射線療法やドキソルビシンによる化学療法も試みられています。

扁平上皮癌

<症状と原因>
皮膚や粘膜をつくる扁平上皮の悪性増殖です。太陽光線による障害、あるいは慢性の炎症などが腫瘍化の引き金になります。

老犬に多く、犬の好発部位は肢端、陰嚢、鼻、肢、肛門などの部位で、盛り上がるような増殖性の病変またはびらん性病変が作られます。局所での浸潤性は強いため、広範な切除が必要となります。

<治療の方法>
扁平上皮がんは周囲組織に広がりやすいため、 周囲の正常組織を含めて手術によって切除しなければなりません。 また、切除部位への放射線療法を必要とすることもあります。

可移植性性器肉腫

<症状と原因>
可移植性性器肉腫は、交尾や、性器の臭いを嗅いだりなめたりなどの 濃厚な接触により伝播する性器の腫瘍です。 品種や性別など関係なく発生しますが、野生犬や放浪犬が沢山いたり、 繁殖管理が行われていない犬が多い地域で最もよく発生します。

地域性が強いようです。またメスの方がオスよりも罹患しやすいようです。 症状としては、外陰部や陰茎に潰瘍性でカリフラワー様の腫瘤が形成されます。 また、生殖器以外にも臭いを嗅いだりなめたりすることから口腔、 口唇、鼻腔などにも発生することがあります。

細菌の二次感染を起こしていると、深部の粘膜が侵されピンク~赤色 の漿液血液性の分泌物を生じたり、外性器から悪臭を帯びたりもします。 腫瘍の転移の可能性はまれで、5%以下と言われています。

<治療の方法>
化学療法剤のビンクリスチン硫酸を週1回、 6週間投与することによって治癒します。 このほか、放射線療法も有効です。

基底細胞腫

<症状と原因>
皮膚の表皮の一番基底部にある細胞の腫瘍。 悪性度が低く、他の組織に転移することは殆どありませんが、 放っておくとその場所で徐々に深く浸潤していきます。 従ってその治療は切除してしまうことが基本です。

<治療の方法>
腫瘍全体を周囲の正常組織とともに切除します。 その結果、腫瘍ががん性の場合でも、それ以上手術を行う必要がありません。 腫瘍を完全に切除することが困難な場合には、 バイオプシーを行います。

毛包腫瘍

<症状と原因>
毛包腫瘍は犬の皮膚腫瘍の約5%を占めて5歳以上に多い病気です。組織像から毛包上皮腫、毛母腫に分けられますが、どちらもほぼ良性で治療法も同じです。毛包上皮腫は背部に多くみられ、境界明瞭な皮内のマスで直径は1~20cmになり、皮膚は脱毛または潰瘍化してしまいます。 毛母腫は境界明瞭な硬いマスで可動性で、やはり皮膚は脱毛または潰瘍化します。両方とも悪性化はまれで、切除により治癒します。
<治療の方法>
両方とも悪性化はまれで、外科的手術によって切除すれば治癒します。

皮膚乳頭腫

<症状と原因>
皮膚の黒色腫は犬の皮膚腫瘍の中では比較的少なく、黒い犬や年齢を重ねた犬に多いです。頭部・四肢・胸部・腹部・背部に境界明瞭で、ドーム型、黒色の結節ができるものは多くは良性の黒色腫になります。切除すれば、大体の場合は治癒します。ただ口腔内や爪床(爪のつけね)に発生するものは非常に悪性で、発見したときにはリンパ節転移がすでに起こっていれば危険です。

犬のウイルス性乳頭腫は通常3カ月以内に消滅し免疫ができるため、処置は必要でない場合があります。退縮した大きな腫痛は悪臭をするケースがあります。病変が大きければ、凍結手術・電気メスによって治療します。

<治療の方法>
乳頭腫は目障りなこともありますが、切除する必要がある乳頭腫は出血や感染が起こっている場合や、それ以外に問題がある場合のみです。乳頭腫は治療をしなくても、自然に退縮します。皮膚や粘膜を作る扁平上皮の良性増殖したもので、通常はカリフラワー状に盛り上がった病変となります。

幼犬にみられる多発型は、パピローマウイルスによるもので、頭部、眼瞼、肢端、口腔に発生します。老犬にみられる単発型になりますと、生殖器に発生し・肢端・頭部・眼瞼・非ウイルス性である。切除すれば治癒してきます。

肛門周囲腺腫

<症状と原因>
肛門周囲腺腫とは肛門の周りにある分泌腺に腫瘍ができることです。睾丸から出るホルモンが原因でこの腫瘍が発生し、去勢していない老犬に多くみられます。治療は去勢と同時にこの腫瘍を摘出しますが、若いときに去勢をすることが予防となります。

肛門周囲腺とは、皮脂腺の変化した状態になります。犬の肛門の周囲には腺があり、その中で重要な部分なのは肛門周囲腺です。肛門周囲腺から周辺から起きた癌・腫瘍は犬の癌腫瘍の中で非常に頻度の高い腫瘍で、高齢の去勢していないオス犬に多く見られ、メス犬はあまり発生しません。オス犬の肛門周囲腺腫の多くは良性ですが、メス犬は悪性の癌が大部分になります。

<治療の方法>
肛門周囲腺腹は切除する必要があります。去勢手術によって、肛門周囲腺腫にホルモンが供給されなくなるため、脛奄の増殖速度は急速に低下します。この腺腫を切除するときに去勢手術も合わせて行い、再発を予防します。

主な治療は、摘出手術と去勢手術が行われます。状況により化学療法や放射線療法により腫瘍を小さくなってから手術を行う事もあります。肛門周囲腺腫では、良性でも悪性に変化することが多いと言われています。

膀胱移行上皮癌

<症状と原因>
犬では膀胱に最も発生しやすく、老犬に見られる病気です。血尿等などの症状により慢性膀胱炎の症状が続いて、動物病院で尿を調べて検査結果で癌細胞が発見されます。年齢を重ねた犬に比較的、多く発症する腫瘍です。膀胱の慢性的な炎症が引き金になっている可能性があります。犬の膀胱炎は長引かせずに早めに診察しましょう。
<治療の方法>
発生部位によっては膀胱を一部切除することも可能ですが、大部分は尿道が出流れて出て行く部分に、発生し切除できないケースになります。腹腔内に転移することもあり、化学療法はあまり効果はありません。

前立腺膿瘍

<症状と原因>
前立腺肥大は、前立腺が肥大してしまい進行する事により組織内にすき間ができ、そこに体液や血液が溜まってしまう症状です。また前立腺膿瘍とは、前立腺嚢胞からさらに状態が悪化したもので、感染症を起こして化膿して膿がたまる症状です。

犬の日常生活の中で見られる行動として、普段よりオシッコの回数が多くなる、いつまでもオシッコをする姿勢のままで、その場にいたりする事が見受けられます。この様な症状を飼い主さんが気づかないで放置しますと、膀胱炎から腎臓炎を起こし尿毒症へと進行してしまいます。

症状としましては、尿とは無関係に尿道から分泌物、膿などがでることがあります。また腫れた前立腺による妨害で排尿や排便が困難になることもあります。

腹部を押すと痛がり、発熱、食欲不振などもみられる。雄の尿道の上部に前立腺という器官があり、肥大したり、細菌感染が起こることもあります。膿がたまって膿瘍(のうよう)となるものも多いようです。

大きさは犬種や年齢によって異なってしまいますが、ホルモンバランスなどによっても影響されます。

<治療の方法>
腫瘍の唯一の治療法は外科的切除で、悪性度を確認するために、術後の組織標本を詳しく調べます。予防方法は、前立腺肥大などの前立腺疾患は精巣ホルモンとの関連性により発症が高くて、去勢していないオス犬が約6から7歳以降の年齢になると発症しやすいです。五歳前後までに去勢手術を受けていれば予防対策に役立ちます。

ただ去勢したからといって、必ず前立腺肥大などを予防できるわけではありません。再発を繰り返したり致死性の高いケース・悪性の前立腺腫瘍の場合には、去勢の有無と発症とに関連性は乏しい。去勢するしないかは、飼い主と獣医師とで相談してから冷静に判断してください。

愛犬が六歳前後になれば、従来以上に健康管理に注意し、血尿・排尿障害・排便障害などの症状があれば、直ちに動物病院で診断を受け、早期に適切な治療を行うことが大切です。

血管腫

<症状と原因>
血管腫とは、細い血管が無数に絡み合ってできた腫瘍状の塊で、ちょうどスポンジのような構造で血液を多く含みます。血管腫になる原因は不明ですが、先天的な要素が強いとされます。発症部位により異なりますが、咳・呼吸困難や食欲不振等様々な症状があらわれます。また血管の内皮細胞より発生する悪性腫瘍で悪性血管内皮腫とも言われます。肉腫として発生しないで、血管腫の悪性化としても発生しています。犬の血管肉腫の好発部位は脾 臓・心臓等や皮下組織と言われてます。
血管が存在する全身の組織で骨や中枢神経・口腔・膀胱・鼻腔・等にもいろんな場所で発症します。犬が血管肉腫する発生平均年齢は9~10歳で犬の種類はシェパード起きやすいです。犬の性別差ではオスの方が比率的に多いです。短い毛の犬で皮膚組織がない種類で腹側腹部や陰嚢の皮膚に高頻度に発生しやすい。ダルメシアンやビーグルなどは本肉腫の皮膚発生リスクが高いとも考えられます。

<治療の方法>
犬の血管肉腫の転移は急速で血行を介して肺・肝臓・心臓・大網膜・筋肉・脳などへ起こります。外科的手術によって腫瘍の切除をおこないます。広範囲な切除の場合には化学 療法がすすめられることもあります。

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