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口(口腔)

エナメル質の形成不全

<症状と原因>
歯の表面のエナメル質(ほうろう質)の発達が不十分なため、歯が折れやすくなります。メス犬によくみられます。

<治療の方法>
知覚過敏を起こしている場合には、エナメル質が薄かったり欠けている部分を外部から他の物質(象牙質補填剤)で覆う事によって知覚過敏をなくす事ができます。

口唇炎

<症状と原因>
痛いので、足でしきりに唇をひっかきます。患部は脱毛することが多く、痛いだけでなく痒みを伴うこともあります。口唇炎は、唇に炎症が起きる病気です。

原因は、物理的原因が多く、唇にケガをしてそこから細菌感染して発症します。アレルギーなどで唇に炎症を起こし、そこから細菌が入って腫れることもあります。

<治療の方法>
乾燥した唇のかさぶたをやわらかくするために、水溶性のクリームを使用することがあります。また、抗生物質と抗炎症剤の入った軟膏を局所につけたりします。基礎原因を取り除き、再発を防ぐようにします。

虫歯

<症状と原因>
歯の色が茶色から黒くなったり、穴があいたりします。 最もむし歯になりやすいのは、歯肉の上の部分や、 食べ物のカスがたまりやすい上下の噛み合わせの部分です。

ひどくなると口臭が強くなったり、痛みで食餌ができなくなることがあります。 食生活の変化や、高齢化が原因として考えられます。

<治療の方法>
虫歯の治療は、まず病変部のエナメル質と象牙質を削り取り、 そのあと充填して修復します。病巣が歯髄まで進行している場合には、 歯髄をとりさる処置が必要になることもあります。

発見が遅く虫歯が進行している場合は抜歯をすることもあります。

歯槽膿漏

<症状と原因>
歯槽膿漏とは、口の中の細菌によって発症した歯肉炎が、さらに進行して引き起こされる病気です。大半は歯石・歯垢が原因となります。

主な症状として、きつい口臭、よだれ、歯茎の腫れ、出血、歯のぐらつき、歯が抜ける、が確認されています。また、歯槽膿漏を治療せずにいると、腎臓病を併発する恐れもあります。

検査にはいくつか方法がありますが、歯の診察をする場合は全身麻酔が必要となりますので、愛犬の年齢・体調を考え、担当医とよく話し合って決めると良いでしょう。

<治療の方法>
治療は、歯石・歯垢を除去し、抗生物質による内科療法が主な治療法となります。

歯槽膿漏は治療するよりも、予防する方が容易い病気です。歯磨きが問題なく行なえるならば、毎日飼い主の方が磨いてあげて下さい。もしも、それが難しいようでしたら、デンタルケアアイテム(ガム、おもちゃなど)を買い与え、それでも歯石が溜まってしまうようなら、酷くなる前に獣医師に歯石を処理してもらいましょう。定期的に獣医師に処理してもらうのも有効ですが、全身麻酔をしなければならない事を考えると、やはり毎日の歯磨きが一番確実で、愛犬に負担のない予防法と言えます。

歯根の膿瘍(根尖周囲膿瘍)

<症状と原因>
歯の根元周辺に炎症が発症して引き起こってしまいます。 発見しづらいのが特徴です。

膿瘍は痛みが激しく・発熱・元気消失・食欲低下を引き起こします。食べかすと膿のポケットは、歯根やそのすぐ下に形成されます。犬歯と上顎の前臼歯は、もっとも発症しやすい歯です。

膿瘍が上顎の第3前白歯に形成されると、まず日の下に特有な腫れを起こし、やがて皮膚表面を突き破って破裂します。

<治療の方法>
膿瘍の範囲や患部の組織の状態にもよりますが、歯髄を抜いて充填するか、抜歯をします。場合によっては抗生物質を細菌性の感染を治療するために投与します。

予防には、歯磨きが効果的で重要です。歯ブラシに抵抗を感じてなかなか歯磨きをさせてくれない犬も少なくないと思いますが、歯ブラシではなくスキンシップをとり安心をさせてあげてから、まずは指を入れたりして少しずつで抵抗を感じないようにしましょう。様子をみながら何度か指を入れ、少しずつ入れる時間を延ばして行きます。

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